Digging my way to London\r\r大竹伸朗、21歳、\rパンク吹き荒れるロンドンでみたものの大部分\r\r刊行年月: 2004.06\rB5判 ハードカバー 656頁(4C 144頁 1C 512頁)\r\rロンドンへの穴掘り 大竹伸朗\r\r1977年5月3日から1年あまりをイギリスで過ごした。\rその大半はロンドンだ。入国半年後、観光ビザが切れヴィクトリア駅前から激安「マジックバス」で10日間程パリに出た以外は結局一年あまりをロンドンで過ごした。それが初めての海外での一人暮らしだった。\r\rこの本にあるものはすべて1977年5月3日から翌78年4月28日までのイギリス滞在中に撮影し描き貼ったものである。ロンドンでの1年間は引っ越しや移動の連続で常に荷物をできるだけコンパクトにしておく必要があったため自然とカメラとノートブックという形になっていったのだろうと今になって思う。油絵は一通りの材料を揃える金銭的余裕もなく場所も取り、また絵の乾燥が遅く運搬に不便ということもあり結局一点も描かなかった。何点か描いたアクリル画も引っ越しや帰国の際世話になった知人友達にあげてしまい、それらの絵も数点の写真の中にあるだけだ。 写真やスケッチと一緒に出てきたノートは今迄てっきり通常の「日記」だと思い込んでいたのだが、今回改めて見てみるとほとんど「出納帳」であったことに気がついた。それまでも日記をつけるという習慣はなかったが、結果的に思いや感情を文章化した日記より一見無味乾燥な出費の数字記録の羅列を眺める方があの頃の日常のディテイルがより鮮明に蘇ってくるような感じがした。